2026.10.11

【JR東日本×さとゆめ】駅の改札を抜けると、そこはホテルの入り口。地域×鉄道で挑む「沿線まるごとホテル」の観光まちづくりを視察から学ぶ

【JR東日本×さとゆめ】駅の改札を抜けると、そこはホテルの入り口。地域×鉄道で挑む「沿線まるごとホテル」の観光まちづくりを視察から学ぶ

 

東京都の西端、JR青梅線が山あいを縫うように走る青梅・奥多摩エリア。都心から電車で行ける距離にありながら、沿線には無人駅や空き家が点在し、多くの地方と同じように人口減少や地域の担い手不足という課題を抱えています。

そんな沿線地域を舞台に、新たな観光まちづくりに挑戦しているのが沿線まるごと株式会社です。全国各地で地方創生事業を手がける「株式会社さとゆめ」と「東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)」が設立した合弁会社で、無人駅を「ホテルのフロント」、空き家を「ホテルの客室」、地域に暮らす住民を「ホテルのキャスト」に見立て、地域全体を一つのホテルとして捉える「沿線まるごとホテルプロジェクト」を展開しています。

新しく大きな施設を建てるのではなく、地域にすでにある資源に新たな価値を見出す。そんな「名もなき風景」を観光資源に変える取り組みは、国内の主要なアワードを次々と受賞し、全国から注目を集めています。

本記事では、そんな沿線まるごと株式会社の取り組みについてご紹介します。

▼沿線まるごと株式会社の視察一覧はこちら

https://shisaly.com/recipients/684


 

沿線まるごとホテルの主な取り組み

沿線まるごとホテルの最大の特徴は、無人駅を「フロント」、空き家を「客室」、地域住民を「キャスト」に見立て、地域にすでにあるものを「ホテルの機能」として捉え直す発想にあります。ここでは、その見立てを形にしている主な取り組みをご紹介します。


1.無人駅をフロントに。情報発信拠点となる「沿線まるごとラボ」

利用者が減り、人の気配が少なくなった無人駅。沿線まるごとホテルでは、この無人駅を旅の始まりとなる「フロント」として活用しています。宿泊客は駅で地域へのチェックインを行い、そこから滞在がスタートします。また、2022年に開設されたJR青梅線・鳩ノ巣駅の改札横にある「沿線まるごとラボ」は、無人駅を活用し、事務所としてプロジェクトの事業拠点であると同時に、地域の情報発信を行う場としての役割も担っています。

視察の際もこのラボが集合場所となり、事業の立ち上げ背景や地域との連携方法についての説明を受けることができます。あわせて、沿線での移動手段として活用されている電動モビリティの試乗体験も用意されています。

 


 

2.空き家を客室に。中核施設となる古民家ホテル「Satologue(さとローグ)」

プロジェクトでは地域に点在する空き家や古民家を改修し、宿泊施設として再生しています。地域の暮らしや風景に溶け込んだ客室で過ごす時間そのものが、旅の価値となります。

実証実験を重ねたのち、2024年に奥多摩町で開業したのが中核施設「Satologue(さとローグ)」です。まずレストランとサウナを開業し、2025年には宿泊棟、2026年には1棟貸切の客室(別邸)をオープンするなど、段階的に施設を拡充してきました。

宿泊・レストラン・サウナを組み合わせ、その土地ならではの滞在体験を提供しています。


 

3.住民をキャストに。食・体験・交流が生み出す「滞在価値」

駅から宿までの送迎を「地域のお父さん」が担うなど、住民一人ひとりがホテルのキャストとして旅人を迎えます。人との出会いや交流が、他では味わえない滞在体験を生み出しています。

沿線まるごとホテルが目指すのは、「泊まるだけ」で終わらない観光です。Satologueでの滞在では、お庭さんぽや薪サウナ、地域の食材を活かした「沿線ガストロノミー」などを楽しむことができます。

宿泊だけでなく、食や体験、人との交流を組み合わせることで、訪れた人が地域でゆっくりと過ごせる滞在のかたちをつくっています。


 

4.観光消費を地域内で循環させる仕組み

プロジェクトでは、地域事業者と連携した体験プログラムや商品造成、視察・研修の受け入れなどにも取り組んでいます。観光客が使ったお金を地域の事業者へと波及させ、観光を起点とした地域内の経済循環と、交流人口・関係人口の創出を目指しています。

事業は、民間企業・自治体・地域事業者・住民がそれぞれの役割を持ちながら、連携して進められています。

 

5.スタートアッププログラムから生まれ、全国から評価される事業へ

沿線まるごとホテルは、2020年にJR東日本のスタートアッププログラムによる実証から始まりました。2021年に沿線まるごと株式会社を設立し、そこから着実に事業を形にしてきました。

その取り組みは高く評価され、2023年にはジャパンツーリズムアワードで「国土交通大臣賞」と「学生が選ぶジャパン・ツーリズム・ アワード賞」をW受賞。2024年にはForbes Xtrepreneur AWARD2024「地域活性・モビリティ部門賞」、Newsweek SDGs AWARD2024「最優秀賞」「地域課題部門賞」、2025年にはジャパンツーリズムアワード「入賞」、COOL JAPAN AWARD2025「インバウンド部門賞」を受賞しています。

 

おわりに

沿線まるごとホテルは、無人駅や空き家といった「地域の課題」とされてきたものを、「地域の資源」へと捉え直すことで生まれた観光まちづくりのモデルです。鉄道会社と地方創生の専門企業がタッグを組み、地域住民とともに、沿線の風景に新たな価値を生み出し続けています。

視察マッチングプラットフォーム"Shisaly"では、沿線まるごと株式会社の視察プランを掲載中です。沿線まるごとホテルの取り組みに興味を持たれた方は、ぜひ現地を訪れてみてはいかがでしょうか。

▼沿線まるごと株式会社の視察一覧はこちら

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