近年、国内の各自治体では、財政的制約の中で公共サービスの維持・向上を求められる事が多くあります。
特に、日本では少子高齢化や人口減少に伴い、自治体の財政負担が増大し、従来の公的部門単独での運営が難しくなってきています。また、既存のインフラの老朽化が進み、維持管理費の増加も課題です。
こうした背景から、民間企業の資金調達力や経営効率を活かしながら公共サービスを提供する”PPP(Public-Private Partnership)”という手法に注目が集まっています。
”PPP(Public-Private Partnership)”とは
PPPとは、公民連携の1つの仕組みです。公共サービスの提供や公共インフラの整備・運営において、公的部門(政府・自治体)と民間企業が協力して事業を推進する仕組みを指します。
PPPでは、公的部門と民間企業が契約を結び、それぞれで役割を分担します。一般的な流れとしては、まず政府や自治体が提供すべき公共サービスの計画を立案し、民間企業に対して事業提案の募集を開始。その後、入札などのプロセスを経て、最も適切な企業と契約を結び、事業が開始されます。
民間企業は資金を調達し、インフラの設計・建設・運営を担うことが多いです。契約期間中は民間が公共サービスの提供を行い、契約期間が終了すると、インフラや施設の所有権は公的部門に戻る場合もあります。このように、政府や自治体が単独で実施するのではなく、民間企業の資金・ノウハウ・技術力を活用することで、より効率的かつ高品質な公共サービスを実現することが可能です。
また、PPPの手法の1つとして、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)があります。PFIは民間資金を活用して公共施設の整備・運営を行う方式です。具体的には、病院・学校・道路・刑務所などの公共施設の建設・運営を民間企業が担い、政府や自治体はその利用料を支払う形で事業を進めます。
PFIの特徴は、公共サービスの提供に必要な施設を民間が整備・管理し、政府がそのサービスを一定期間利用する点です。この方式では、民間企業が独自に資金を調達し、効率的な施設運営を行うことで、政府の財政負担を軽減できます。
PPPの事例紹介
PPPの仕組みを使った公共施設の事業は以下の事例があります。

市営住宅建替プロジェクト「morineki」(株式会社コーミン:大阪府 大東市)
大阪府大東市に位置する「morineki」は、全国で初めてPPP手法を用いてオープンした複合施設です。建物は株式会社が所有し、大東市はその民間賃貸住宅を市営住宅として借り上げる他、公園・河川・周辺道路の整備を行うなど、公民連携で運営されています。
https://shisaly.com/recipients/193
むつ市代官山公園Park-PFI事業「PARK DAIKANYAMA」(株式会社むつ不動産取引センター:青森県 むつ市)
「PARK DAIKANYAMA」は、本州最北端、青森県むつ市代官山公園内にあるグランピング施設です。本施設は2017年の都市公園法改正により設けられた公募設置管理制度(Park-PFI)を活用しています。
https://shisaly.com/recipients/226
-QURUWA戦略-(QURUWA:愛知県 岡崎市)
岡崎市の乙川周辺に位置するQURUWAエリアの活性化を目的として、岡崎市では「乙川リバーフロント地区公民連携まちづくり基本計画-QURUWA戦略-」が策定されました。QURUWAエリア内で、PPPを活用した拠点形成・公園運営が複数取り組まれている日本でも珍しい地域です。
https://shisaly.com/recipients/241
木伏緑地・BeBA TERRACE(株式会社PUBLIQ:岩手県 盛岡市)
株式会社PUBLIQは岩手県盛岡市を中心に、Park-PFIを用いて都市公園を起点とした民間手動のまちづくりに取り組んでいる企業です。Park-PFIを活用した事例として、盛岡駅から約200m東に位置する”木伏緑地”や、盛岡市の西南エリアに位置する”BeBA TERRACE”の視察が可能です。
https://shisaly.com/recipients/190
オガールプラザ(オガールプロジェクト:岩手県 紫波町)
オガールプロジェクトは、岩手県紫波町で進められた官民連携のまちづくりプロジェクトです。旧公設市場の跡地を活用し、PPPを用いて行政施設・商業施設・住宅などを一体的に整備することで、地域活性化を目指しました。施設には、町立図書館や子育て支援施設、バスケットボール専用アリーナ「オガールベース」などがあり、地域住民の利便性向上と賑わい創出に貢献しています。
https://shisaly.com/recipients/321
おわりに
このように、PPPは、行政だけでなく民間企業の資金・ノウハウ・技術力を活用することで、より効率的かつ高品質な公共サービスを実現することが可能です。
視察マッチングプラットフォームshisalyでは、そんなPPPを用いたまちづくりの視察プランを複数掲載しています。
まちづくりの取り組みの参考に、是非ご覧ください。