2024.04.03

脱炭素社会のカギを握る”洋上風力発電”とは?

脱炭素社会のカギを握る”洋上風力発電”とは?

洋上風力発電は、再生可能エネルギーとして近年、最も注目を集めている発電方法です。風力発電機を海上に設置する洋上風力発電は、陸上風力よりも安定している点や、大型の発電機が設置しやすい点等の長所があるため、今後の普及が期待されています。

世界で導入が進んでいる国は、主にイギリス・中国です。日本はイギリスと同様に、国土を海に囲まれた島国なので、高いポテンシャルがあるといえます。

本記事では、日本で初めて商用の洋上風力発電導入を実現した秋田洋上風力株式会社を参考に、日本の洋上風力発電の取り組みについて説明していきます。


秋田洋上風力株式会社の取組み

秋田洋上風力発電株式会社は、秋田県内企業7社を含む13社の株主で構成されており、2016年4月の設立以来、日本国内で初の商業ベースでの大型洋上風力発電事業に取り組んでいます。

風況の良さから国内有数の風力発電の適地とされる秋田県で、2023年1月に日本初の大型商用洋上風力発電所が全面運転を開始しました。2015年の事業者選定以降、2020年2月に着工、建設期間が約3年間と、約8年間かけて発電所の商業運転開始に至っています。

現在では、能代港に4.2MW(メガワット)風車を20基、秋田港に同風車を13基設置し、合計で約140MWの着床式洋上風力発電所及び陸上送変電設備が稼働中です。その年間発電量は4億kWhを超え、一般家庭の使用料に換算すると12万世帯分の電力に匹敵します。

秋田洋上風力発電株式会社が目指しているのは、地域社会と一体となった洋上風力発電の運営です。現在はその目標に向けて、積極的な地元人材の採用・育成を行っており、既に常駐人員の半数は地元人材を採用しています。洋上風力発電の導入の際には、地元企業と連携し、建造・メンテナンスを行うなど、地域企業の活性化にも貢献しています。

このように、秋田洋上風力発電株式会社は技術の高さ・規模の大きさのみならず、地域と共に歩む取り組みという点でも洋上風力発電の先進事例といえるでしょう。

秋田洋上風力発電株式会社の視察はこちら

https://shisaly.com/recipients/225

 

日本の洋上風力発電の展望

再生可能エネルギーには風力、太陽光、地熱、水力、バイオマス等、様々なものがあります。その中でも洋上風力発電は今まで国の補助金による実証実験等、ごく小規模でしか取り組まれてきませんでした。その結果、日本の洋上風力発電の取り組みは他の先進国と比べて大きく遅れているのが現状です。

そんな中、2019年には洋上風力発電を推進する再エネ海域利用法の施行、2020年には”洋上風力産業ビジョン”の発表があり、2030年までに10000MW、2040年までに最大45000 MWの導入目標が掲げられました。

また、2020年、当時の菅首相からカーボンニュートラル宣言が発表され、秋田の他にも青森や千葉など、日本各地で新しい洋上風力発電開発が進められています。


 

おわりに

このように、日本での洋上風力発電の取り組みは国を挙げて進められている最中です。沿海地が多い日本の国土的な優位性を活かせる洋上風力発電の取り組みは、日本における脱炭素社会実現の大きな命運を握っているといえるでしょう。

shisalyでは秋田洋上風力発電株式会社の取り組みをはじめ、全国各地で展開されている先進的なケースや社会課題への取り組みが学べる視察プランを掲載しています。再生可能エネルギーに関するプランも複数掲載しているので、是非ご活用ください。

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