世界規模で取り組んでいる”SDGs”や、企業の社会貢献である”CSR”など、より良い世界の実現に向けての取り組みが、近年活発に行われていますが、個人の活動も行われてきています。皆さんは、今まで培った知識やスキルを社会のために活かしたいと思ったことはないでしょうか?
このように専門的な知識・スキルを活かした社会貢献を”プロボノ”といい、近年注目を集めています。社会貢献活動に興味がある方にぜひ読んでいただきたい内容です。
プロボノとは
プロボノとは、各分野の専門家がそのスキルや知識を活かし、ボランティアで地域の問題解決や公益の活動を行う事を指します。
プロボノとはラテン語で「公共善のため」という意味です。発祥はアメリカで、当初は弁護士の無料相談など、法務関係のボランティア活動の事を指しました。
現在ではその意味が広がり、専門家のスキルを活かしたボランティア活動とされています。
日本でプロボノが普及した背景
プロボノという言葉は1980年にアメリカで生まれましたが、日本で普及し始めたのは最近の事です。2010年がプロボノ元年とされ、法務界隈のみならず他業界にプロボノの取り組みが浸透し始めました。
2011年の東北大震災では専門家が被災地へ赴き、災害系のNPOネットワークを活かして復興に尽力したことも、プロボノの一例です。
2015年からのSDGsや、企業の社会貢献への取り組みであるCSRの取り組みなど、専門性が求められることが増えたことも、プロボノが重要視されるきっかけとなっています。
プロボノ活動の具体例
では、プロボノの具体例はどのようなものがあるのでしょうか。各国のプロボノの取り組みを見ていきましょう。
【アメリカ】
アメリカでは、裁判や訴訟が日本より活発で、低所得層が弁護士費用を用意できない場合が多くあります。そこで、全米法曹協会はこの問題に取り組むため、低所得層や社会的弱者に年間50時間以上の無償法的サービスをするよう奨励しています
アメリカはプロボノ発祥の地という事もあり、本来の法務関係での取り組みがとても盛んです。
【フランス】
フランスでは2002年からP&C(Passerelles et Competences)という組織がプロボノの中間支援を行っています。P&Cはプロボノの対象を、従来の法務関連の活動のみならず、IT、デザイン、経営戦略等、幅広く再定義した活動を始めました。
今ではフランスに20の支部を持ち、プロボノワーカーの登録数は約5000名。登録されたプロボノワーカーと支援先とのマッチングを年間約500件も行っています。また、その運営を300名ものインターナル・ボランティアが行っており、こちらも無償での取り組みです。
その他にも、ドイツやフランスを中心にプロボノサミットが開催されており、活動の発信や共有体制が出来ています。プロボノ活動による税金控除の仕組みもあり、国がプロボノを推奨する動きも盛んです。
【日本】
日本では、2010年が”プロボノ元年”とされ、法曹界以外にもプロボノ活動が普及しました。現在では、企業と個人双方に向けたプロボノマッチングサービスや、求職中の女性に対して社会復帰へのウォーミングアップとして、社会貢献活動が行える場の提供を行っているサービスも有ります。
また、プロボノという言葉以外にも、企業が行う社会貢献”CSR”という形での広がりもあり、ボランティアの幅は年々広がりを見せています。
プロボノのメリットデメリット
プロボノ活動を行う上で、どのような点にメリット、デメリットがあるのでしょうか?
プロボノ活動を行う上でのメリットは以下のものが挙げられます。
・自分のスキルを活かしながら社会貢献ができる
・社外で自分のスキル・力を試すことができる
・新しい繋がりができる
一方、デメリットは以下の通りです。
・情報漏洩の可能性がある
・最優先にし辛いため、モチベーションの維持が必要
・ボランティアより専門的なスキルを要するため、ミスマッチの可能性がある
おわりに
このように、プロボノ活動は今まで培ってきたスキルや技術を人のために最大限発揮できる可能性を秘めています。しかし、プロボノの取り組みは自身のスキルと受け入れ現場が必要とするスキルのマッチングが不可欠です。
そのため、プロボノを始める際にはボランティアやプロボノのマッチングサービスを使い、自身のスキルが発揮できるかどうかを吟味するようにしましょう。