2023.04.12

次世代の循環型農法“アクアポニックス”が注目されている理由

次世代の循環型農法“アクアポニックス”が注目されている理由

私たちの食卓に並ぶ野菜やお米といった作物は、さまざまな農法を用いて作られています。無農薬・無化学肥料栽培、有機栽培といった単語から、ドローンなどの最新技術を活用した農法など、皆さんも一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか?

今回ご紹介するアクアポニックスもそんな次世代の農法の一つ。食糧危機や地球温暖化など、さまざまな問題を抱える現代において、アクアポニックスはそのどちらの問題も解決につながる農法として注目を集めています。

今回は”アクアポニックス”がどのような農法で、どのような特徴があるのかについてご紹介していきます。


 

アクアポニックスとは

アクアポニックスとは、水耕栽培と魚の養殖を同時に行う次世代の循環型農業です。上の図に仕組みを紹介していますが、アクアポニックスでは、水槽で養殖される魚の排せつ物を微生物が分解することで植物の栄養分にします。

また、排せつ物によって汚れてしまう水は、微生物と植物によってきれいな水質に保つ事が可能です。

アクアポニックスで育てられる魚は、ティラピア、ナマズ、コイ、ウナギ、チョウザメ等、幅広い種類があります。植物については、基本的にはほぼ全ての植物を育てる事が可能です。

 

アクアポニックスが注目される理由

なぜ、今アクアポニックスが注目を集めているのでしょうか。その理由としてはまず、環境問題が挙げられます。

従来の農業では、化学肥料や農薬による土壌汚染、トラクター等の農業重機による二酸化炭素の排出が問題視されてきました。しかし、アクアポニックスでは魚の排泄物を植物の肥料とし、農薬や化学肥料をほとんど使わないため環境への負荷が少ないのです。

次に、世界の食糧危機が挙げられます。アクアポニックスは通常の農法より短期間で作物が収穫できることから、食糧危機を解決する農法として期待されています。ある会社の研究によると、レタスの土壌栽培とアクアポニックスでの栽培を比較すると、アクアポニックスでの栽培では最短で約65日早く収穫出来る事が判明しています。

その他にも、アクアポニックスには以下のような特徴があります。

・節水効果
アクアポニックスでは、植物と微生物が魚の排泄物を分解・吸収するため清潔な水を保つ事ができます。頻繁に水を交換する必要がないため水の節約が可能です。

・費用の削減
通常の水耕栽培では液肥と呼ばれる化学肥料を使用し、植物が育つ栄養素を含んだ水で栽培しますが、アクアポニックスでは魚の排泄物を栄養素にしているため、通常の水耕栽培と比べて肥料コストも減らすことが可能です。

 

アクアポニックスのデメリット

次に、アクアポニックスのデメリットについて説明していきます。アクアポニックスのデメリットは以下のものが挙げられます。

・システム変更の困難さ
アクアポニックスで栽培できる農作物は多岐にわたります。しかし、農作物に合わせたシステムを構築しているため、アクアポニックス導入前に環境や微生物等、全てのシステムを決める必要があり、一度決めたシステムの変更は困難になります。そのため、農作物を簡単に変更することが難しいのです。

・認知度の低さ
アクアポニックスで作られた農作物は、味、品質ともに工場で作られた農作物と同じか、それ以上の品質となっています。しかし、良質な物にも関わらず、アクアポニックス自体の認知度が低いため、販売先の確保が難しく、高額になる傾向があります。アクアポニックスで作られた農作物の多くは通常生産の農作物と同じくらいの価格で販売されていますが、認知度が向上し、生産量が増えることで価格はさらに下がっていくでしょう。


ある論文では、世界のアクアポニックス市場は2026年までに10億ドルを超えると言われています。

そんな、世界から注目を集めるアクアポニックスは、環境問題に配慮できるだけでなく、生産性の高く、且つコスト削減にもなる3方良しの新しい生産方法といえるでしょう。日本ではまだ認知度が低いですが、導入を始めている企業も少しずつ増えてきています。