2023.01.17

企業が社会的責任を果たし、より良い社会を築くために必要な”CSR”とは

企業が社会的責任を果たし、より良い社会を築くために必要な”CSR”とは

我々の豊かな生活は、産業革命や情報革命といった様々な技術革新によって形成されてきました。その一方で、18世紀の産業革命以降では、企業の生産活動による環境汚染や労働者の搾取が問題視されています。

経済の発展を求めるがゆえに多くの代償を払ってきたのです。近年、会社は利益の追求だけでなく、社会の諸問題に対しても責任があるという声が強まっています。そんな中”CSR”という言葉が注目を集めています。


CSRとは

CSRとはどのような意味を持つのでしょうか。CSRとは”corporate social responsibility”の略で、企業の社会的責任という意味です。ここで言う社会的責任とは、その会社の従業員や取引先はもちろん、自然や大気などの会社を取り巻く環境まで配慮した意思決定を行うことを指します。

CSRの具体的な取り組みとしては以下の通りです。

・児童養護施設の食事会開催
・子どもを支援するチャリティー団体への寄付活動
・工場から出る有害な煙や汚水を減らす活動
・森林伐採を行った山に苗木を植える活動
・カンボジアにおける地雷除去作業用油圧ショベルやブルドーザーなどの無償貸与
・次代を担う子どもたちを対象に地球環境やエネルギー資源の学習教室の開講
・適切な医療を受けることが困難だった農村地域への資金提供
・出産時の母体の命を救うためのワークショップを開催

このように、CSRの取り組みは幅広く、社会課題の解決にあらゆる方向からのアプローチが可能です。


CSRが普及した理由

何故、近年CSRという言葉に注目が集まっているのでしょうか。一つ目の理由はインターネットの普及です。

食品の偽装表示や不正会計、過酷な労働環境、労働者への不当な処遇等、企業の不祥事は国内国外問わず、幾度となく問題となってきましたが、近年はグローバル化やインターネットの普及により、そのような問題や経営実態の多くのが人の目に留まるようになりました。それに合わせて、SDGsの普及などによる消費者意識の向上もあり、企業に誠実さを求める風潮が強くなってきています。

2つ目は、企業が社会貢献や社会課題解決に向けてコストを掛けて取り組んでいる姿は企業イメージの向上にもつながり、商品やサービスの売り上げ増加にもつながります。このように、利益を得るという意味合いでも企業側からの関心は高まっているのです。

CSRのメリットと課題

CSRの取り組みを行う事で、どのようなメリットがあるのでしょうか。まず、前述の通り、CSRに取り組むことで企業イメージの向上に繋がります。

消費者のリテラシー向上も相まって、企業イメージは以前よりも遥かに大切になっています。企業イメージの向上は、販売先、納入先との連携強化や従業員満足度の向上、離職者軽減等の面でもメリットがあります。

一方、今後の課題としては、人的・資源的にコストがかかってしまうという点があります。CSRへの投資はどうしても長期的になるため、財源と人手に余裕のある比較的大きな会社の取り組みと認識されてしまう場合も少なくありません。


おわりに

このように、社会に生じる諸問題の解決は、NPOやボランティア団体の活動のみならず、経済の側からも解決しようという動きが強まっています。CSRのような一見慈善活動のように見える取り組みが、間接的に会社の利益になっていることも少なくないでしょう。

児童養護施設の食事会開催や、慈善団体への企業寄付のように、すぐ取り組めるCSRの取り組みも多数あります。中小企業でもまずは身の回りのことからCSRの実践をしてみてはいかがでしょうか?