2020年の春に初めて緊急事態宣言が発令されて以降、外出自粛やマスク着用、テレワークの推進による働き方の変化など、私たちの暮らしは一変しました。こうした生活の中で多くの方がいつもと通りの世界に戻るのか?自身のライフワークや働き方はこのままでいいのか?そんな疑問を感じたと思います。
コロナ禍から3年以上が過ぎ、規制が少しずつ緩和されてきた今、私たちの生活はどのように変わっていくのでしょうか。
今回は令和4年7月22日に内閣府から発表された「第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」をもとに、皆さんの考え方がどのように変わってきたのかを見ていきます。
リモートワーク増加に伴い地方への移住希望者が増加
新型コロナウィルスの流行により、出勤はもちろん、都市部にいること自体に疑問を覚えた方も多いはずです。実際会社がリモートワークになった、大学の授業がオンラインになったというタイミングで、実家に帰ったという人も多いと思います。
内閣府発表資料を見ると、都市部ではなく、地方への移住を希望される、興味がある方が増えています。
上の図は東京23区で働く方を対象に、地方移住への関心があるかという質問に対しての回答結果です。左のグラフで見るとコロナ流行前の2019年時点では移住に関心があると答えた方の割合が28%だったのに対し、2022年6月時点では9.2%上昇し、37.2%の方が地方移住への関心を持っているという結果でした。
その中でも20代の方の回答(グラフ右)を見ると2019年から12%上昇し、約半数の方が地方への移住に関心を持っています。次に、移住に関心があると回答した方が、どのようなきっかけで移住に関心を持つようになったのかを見てみましょう。
アンケート結果の上位は、「人口密度が低く、豊かな環境に魅力を感じたため」「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため」「ライフスタイルを都市部での仕事重視から、地方での生活重視に変えたいため」という結果でした。このうち人口密度が低い地域に生活拠点を移したい、ライフスタイルを都市部から変えたいという2つは、まさに新型コロナウィルスの流行による影響でライフスタイルを見直した結果ではないでしょうか。
そして今回注目していただきたいのは、アンケートで2番目に回答の多かった「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため」です。
今までの働き方の場合、オフィスに通える範囲に住む必要がありましたが、テレワークの普及よって制限がなくなりました。テレワークにより転職せずに地方移住できることが、移住に関心を持つ方が増えた大きな理由だと思います。
同報告書では他にも都内23区で働く方の何割が現在もテレワークしているかを調べています。その結果を見ると、50%の方が毎日または週数日の頻度で今もテレワークを活用しているそうです。業種別で見ると情報通信業に勤めている方の場合は70%がテレワークを活用しているので、これらの業種の方は特に、移住のハードルが低い環境だと言えます。
ワーケーションとは?
では移住を希望する場合、どのような手順で進めていけばいいのでしょうか。基本的には、自治体が都市圏に設けている移住相談窓口で移住の情報収集や手続きに関して相談します。
しかし、移住先に作業できるスペースがあるのか、通信環境は良いのか、住宅の周りに生活雑貨を買うお店や保育所があるのかといった詳細情報まで知ることは難しいかと思います。
そこで今回お勧めするのはワーケーションです。ワーケーションとは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語です。オフィスを離れたところで仕事をするという点では、テレワークと同じですが、ワーケーションはただ離れているだけではなく、ビーチやリゾート、温泉街などの「休暇先」でゆったりバカンスを楽しみながら働くということです。
最近ではワーケーションという言葉は広義に捉えられており、中にはホテルや旅館に泊まるのではなく、自治体が用意した移住体験用の住宅で生活を送りながらテレワークを行うというものもたくさんあります。
ワーケーション制度を活用しよう!
ワーケーションを通して、移住候補地を探していくのはどうでしょうか。実際にその地域を訪れ、数日でもいいので実際に生活を送ることで見えてくる景色もあります。いきなりの移住はハードルも高いく不安が大きいと思います。満足いく移住先に出会うためにも、まずはワーケーションを活用して将来の生活像を想像することから始めましょう。
では現在のワーケーションを活用している人の割合を見てみましょう。
若い世代を中心に、多くの方がワーケーションを希望していますが、実施している方はとても少ないのが現状です。
実施者が少ないことの理由はさまざまだと思いますが、その一つにワーケーションの費用が挙げられます。ワーケーションは旅行よりも長期滞在のため、費用が嵩張る傾向があり、金額の高さから躊躇している方も多いのではないでしょうか。
そこで、自治体が応募しているワーケーションに参加してみましょう。最近では、各自治体がワーケーションに力を入れており、補助金が豊富です。中には交通費・滞在費全てを補助する自治体もあります。出費を抑えながらワーケーションに取り組むことができるので、気になる自治体があれば応募してみましょう。ただし、自治体は移住する意思のあることを前提に応募しているので注意が必要です。
他にも、ワーケーションは自治体の特集ページや旅行会社の特集記事なども多いので、今回の内容で興味をもっていただけたら、是非探してみてください。