移住者が挑む、半世紀越しの伝統産業復興に向けた取り組み

■取組紹介

柿BUSHIは、​岐阜県山県市で飛騨・美濃伝統野菜認証を得ている「伊自良大実柿」という渋柿を使った干し柿の販売、柿の6次産業化商品の開発、柿渋染め体験の提供を行っています。

伊自良大実柿は旧伊自良村で100年間受け継がれている伝統の干し柿です。

伊自良大実柿の皮をむき、竹串に3つ挿したあと、藁で10段編むという方法でつくられる伊自良特有の干し柿を『伊自良大実連柿』と呼び、岐阜・やまがた逸品認定品に指定されています。

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渋が強いからこそ、干し柿にした時はとても甘く、60％を超える糖度から、多くの方に愛されてきました。

干し柿の生産時期である11月中旬から12月にかけて農家の軒先に干される連柿は、オレンジ色のカーテンとなり伊自良の風景を彩っています。

また、伊自良大実柿の成熟していない青柿の果実は自然塗料「柿渋」としても活用されるなど、伊自良大実柿はこの地域の方にとって生活に欠かせないものでした。

現在も伊自良大実柿は地域の宝ですが、需要減少によって柿渋づくりが半世紀前に断絶するなどの問題も起きています。

そうした現状を変えるために地域ではさまざまな活動が生まれました。

柿渋づくりは地元住民や地域おこし協力隊などが協力し、近年復活。

伊自良大実柿の生産者組合である「伊自良大実連合会」は生産者の高齢化によって管理されなくなった柿畑を借りて管理、草刈り、青柿収穫を行なっています。

青柿の収穫には地元住民、JA、岐阜女子大学、ぎふの田舎応援隊や県外から一般参加の方など、多くの方がボランティアで参加していただいており、伊自良大実柿という伝統の保全・振興の活動は地域内外を巻き込んだものとなっています。

柿BUSHIはそうした活動にも関わっているオーナーの加藤が、伊自良大実柿のPRを行うために設立しました。

取り組みとしては柿渋染め代行、柿渋染め体験、柿渋染め商品の販売、伊自良大実柿（干し柿）販売、柿渋用の青柿収穫などを行なっています。

軒先に干される連柿

​■視察プランについて

柿BUSHIは伊自良大実柿の普及を目的としたお店です。

その目的を実現するため、伊自良大実柿のブランディングに力を入れています。

伊自良大実柿を活用した商品開発や体験活動の提供により、伊自良大実柿の認知度向上と、ファンを増やすという取り組みによってブランドを確立し、就農者の増加や利益向上に貢献することで、伊自良大実柿という伝統の保全・振興につながればと考えています。

今回の視察プランでは伊自良大実柿の置かれている状況、そしてこれまで柿BUSHIが取り組んできたことについて、オーナーの加藤よりご説明します。

伊自良大実柿を活用した体験活動もセットにできるので希望があればオプションよりご参加ください。

さまざまな地域に伊自良大実柿と同じような衰退してしまった伝統が眠っていると思います。

その伝統をどう復活させ、次の時代に守っていくのか、互いにとって刺激のある機会になれば幸いです。

みなさまからのご参加をお待ちしています。

柿渋染めの様子と柿渋染を行った洋服

■オーナー紹介

加藤 慶

愛知県尾張旭市生まれ。

大学入学に伴い2005年より東京に。

物理学者を目指していたが諦め、民間企業で働くことを決める。

大手金融機関のシステムエンジニアとして従事したのち2016年、山県市地域おこし協力隊に。

伊自良大実柿に関する地域おこしに携わる。2019年より個人事業主として「柿BUSHI」を開業。

「新しい仕組みづくりをしたい」、「もう少し自由に生きたい」という想いを持ちながら山県市地域おこし協力隊に就任。

任期を満了後、伊自良大実柿を活用した商品の製造・販売、柿渋染め体験ができる「柿BUSHI」の運営を開始。

左：伊自良大実柿のクリームチーズ入り　右：伊自良大実連柿（干し柿）