放棄山林問題の解決を目指す！皮むき間伐プロジェクトについて

一般社団法人地域再生研究所は、複数の事業の連携により、若者の自立・就業支援、空き家対策、放棄山林・放棄耕作地の整備、６次産業化など様々な社会課題の解決に向け、挑戦を続けてきました。

今回の視察プランでは放棄山林の整備により、兵庫県佐用町の豊かな里山の復元、地域木材を活用した6次産業化に取り組む「佐用町の豊かな里山を目指したスギ・ヒノキの皮むき間伐プロジェクト」についての視察プランです。

視察では最初に座学による放棄林の災害問題・皮むき間伐の有用性についてと「佐用町の豊かな里山を目指したスギ・ヒノキの皮むき間伐プロジェクト」の概要を説明させていただきます。その後、佐用町の里山見学を行っていただきます。
 

林業従事者や関係団体の方々はもちろん、地域を活性化させたいという気持ちを持つ方や、自分の地域でも皮むき間伐を行いたいという方々からのお申し込みをお待ちしています。

※実際に皮むき間伐を体験・見学いただくことも可能です。その場合、開催日程が限定されるのでご了承ください。

■放棄山林の危険性と本プログラムの取組

国土の2/3が山林で構成される日本において、管理されなくなった放棄山林の存在は大きな問題を孕んでいます。

放棄山林では、根が浅く細い木が密集し、健全な木が育ちません。木にとって正常な生育環境を生み出すためには余計な木を切り倒すことで、間隔を開ける間伐という作業が必要です。

また、放棄山林が放置されると、降雨による土砂崩れなどの災害を起こす可能性があり、防災面からも放棄林の整備が求められます。

そこで本プロジェクトでは、複数ある間伐の種類から「皮むき間伐」という木の樹皮だけを剥ぎ、1 年間切倒さず、 立ったままゆっくりと枯らす手法を行い、放棄山林の整備に取り組んでいます。
 

「皮むき間伐」は重機などを使わず行えることから、高齢者や女性、子供でも実施できる手法です。森林と触れ合う機会にもなることから、森づくりだけでなく、未来の里山をどのようにしていくべきかを考える機会としても有用です。

本プロジェクトの活動では当団体が運営する里山ICT能開学校に通う若者達と地域内外の方々に広く参加いただき、午前中は「日本の森のこと」「世界の森のこと」「木と私たちの暮らしと関わり」「皮むき間伐」について学んでいただき、午後は実際に山にて切る木と残す木を決める「選木の仕方」そして、実際に選んだ木の皮むき作業を行います。

参加者は女性が多く、子ども達も参加しています。また静岡県、大阪府、広島県、鳥取県、岡山県、広島県など県外からも多くの方に参加していただいています。

 

また、放棄山林の問題は日本全国に通じる課題です。そこで、皮むき間伐による放棄山林への取り組みを普及するための活動として、兵庫県立佐用高校での授業や「皮むき間伐お話し会」というワークショップの開催、2日間にわたって座学や皮むき間伐・木材の６次産業化の実習を行い、皮むき間伐を行うリーダーを養成する「きらめ樹リーダー養成講座」、自然の中で様々な作業を通し、体力を高めながら自分らしいに気づく「自然作業マスターコース」を開催しています。

皮むき間伐を行ったスギ・ヒノキ

間伐した木材は、建築材として出荷するだけでなく、６次産業化商品としての加工・販売も行っています