障害のある人たちの地域生活を支える実践

■団体紹介

私たち「まんさく園」は、九州・熊本県八代市にある、小さな福祉作業所です。

障害や難病のある人たちを支援する、多機能型の指定障害福祉サービス事業所として、就労継続支援Ｂ型と生活介護、共同生活援助（グループホーム）の３事業を運営しています。

1990年4月、「まんさく園」は設立されました。

設立したのは、障害児を持つ親たちです。この時代、障害のある人たちの就職先や、社会活動の場は、地方にはほとんどありませんでした。そこで「無ければ自分たちで創ろう」と、親やボランティアが力を合わせ、無認可の通所授産施設として開園。

当初の園舎は、築80年以上のオンボロ木造家屋を改修したもの。そこにかよう利用者は、養護学校（現・特別支援学校）高等部の卒業生３人でした。

「まんさく園」の名称は、マンサクという樹木に由来します。

早春に小さな花をたくさん咲かせることから、マンサクは「まず咲く」が語源とも言われます。

障害のある人たちが地域で暮らしていく拠点を、まずこの地に花開かせよう……そんな思いが込められているのです。

利用者の増加にともない、2003年には社会福祉法人を設立。福祉制度の変化を受け、2007年に園舎を建て替え、多機能型事業所に改編しました。その後、グループホーム開設などを経て、現在に至ります。2023年3月時点の利用者は33名です。

「まんさく園」で行なわれている授産活動は、大きく２つあります。

ひとつは、設立当初から取り組んでいる“さをり織”です。小型のハタを使い、利用者の自由な手織りによってできた一点物の織布を、バッグや服などに仕立てて販売しています。温かみのある素朴な風合いが人気です。

もうひとつは、店舗運営を伴う飲食事業。カレーなどの料理や、クッキーなどの焼菓子を作り、園舎に併設するカフェ「クミン」で提供しています。レトルトカレーを委託販売に出したり、キッチンカーでイベント出店することもあります。

これらの授産活動は、障害のある人たちが賃金を得る“労働”であり、作業能力を高めたり生活リズムを整える“訓練”であり、仕事を通じて社会や集団とつながる“生きがい”でもあります。福祉作業所としての当園の根幹です。

私たちは、「まんさく園」という施設の運営を“地域づくり”と捉え、20年以上にわたって地道に活動してきました。

施設運営を通して、弱者であっても住み続けることができる地域、人に優しい地域の実現を目指し、今も努力と試行錯誤を重ねています。

■プラン内容

まずは「まんさく園」内を回り、利用者の作業や、職員の支援業務などをご覧いただきます。

その後、カフェ「クミン」店内に移動し、当園のこれまでの取り組みや、障害のある人たちの地域生活への支援などについて、講話形式でお伝えします。ここで質疑応答も行ないます。

最後に、当園で作られたカレーやスイーツなどをご提供。利用者たちの作業の成果に、お食事を通して触れていただきたく存じます。